便利な言葉
同郷で同じ歳の友人と飲む機会があった。
久しぶりにきつい方言丸出しで話ができて
溜まっていたモヤモヤもだいぶすっきりとした。
飲んでいたという事もあろうし、まぁおじさんになったということもあろうが、
便利な言葉を再確認した。
………あれ。
「ほら、あれがさぁ…なんて言うんだっけ…でねぇ、あれしたみたいよ」
傍で聞いていると、きつい方言も加わってほとんど暗号。
その昔おじさんおばさんがよく使っていた「あれ」
その頃は、よく「あれ」でわかるよなぁなんて思っていたが
「長く付き合っていると相手の考える事がわかってくるんだよ」
と、お前もそのうちわかるさみたいに言われていた。
まさにその通り。
「あれ」で十分に通じる。
それに「あれ」の内容を思い出すのに時間がかかるから、
お互い「あれ」の指すものがぶれてなければ話の腰を折らずにすむ。
時間が経ち別の話題になりもう解散なんて頃に
「○○○だ!」と「あれ」を思い出す。
すると、相手も「あぁ、それだ」
なんて、また話が盛り上がる。
ヘタすると1週間とか1ヵ月後に唐突に思い出す事もある。
わざわざ電話をかけて「○○○だ!」
すると、相手も「あぁ、だねぇ」なんて…
そこはちゃんと覚えていたりする。
先日嫁さんとも会話のなかでの「あれ」を思い出したのは3日後だった。
…リチャード・ギア
リチャード・ギアも佐藤栄作も三方原の戦いもピタゴラスの定理も
ぜ〜んぶ「あれ」ですんでしまう。
そのうち、目だけ合わせてニッと笑うと内容がわかったりして…。
もうこれはテレパシーだ。
人類の進歩は「あれ」から始まる。
